![]() |
|
"Into a new world"というサブタイトルのとおり、これまでのディメとは路線変更し、クラブサウンドを全面に押し出しています。これまでに、爽やかフュージョン〜キメキメ系(プログレ、AOR少々)〜スムース風味、と大筋で変遷してきたと(勝手に)思っていますが、それでもある意味一貫したディメの聴き所が存在しました。しかし、「20世紀に置いていく宣言」のとおり、いままでの濃厚な聴き所は全く無くなったといえます。
これまでのディメの聴き方(があるとして)と、クラブでのあくまでノリ重視な音楽の使われ方には相容れないものがあるのも事実です。ディメのセンスや演奏技術に裏打ちされた、ノレないようでノレるトリッキーな曲構成が、少なくとも私は好きでした。しかし、ケース端の「Crossover」という文字にあるように、シーン間の投げかけでこちら側趣味の人があちら側へいざなわれ、反対にあちら側の人の眼がこちら側に向くことでおこる効果の期待もあります。それと同時に、いまは自身の試行錯誤の期間ではないかということも考えられます。したがって、ディメが敢えてこのアルバムを出したことに敬意を表したい。
また、リーダーの増崎さんの抱く方向性というか趣味は、今年のクラブまわりイベントが如実に物語っています。今回のアルバムには久々にタイトルごとに作曲者名が記されているのですが、リーダー名義がやけに目立つことから、言い出しっぺもやはり彼でしょう。他の二人はどう思っているのでしょうか。
今、クラブミュージックとディメンションのセンスの合体によって、新しいディメンションサウンドの軸が提案されました。とはいえ、この路線はあくまでクロスオーバーにすぎず、エッセンスを吸収することはあれ、そう長くは続かないと私は予想しますがどうでしょう。今後予想されるディメサウンドの再構築に期待しましょう。